下の図は、平成13・14年度 静岡県立大学短期大学部 特別研究報告書 で、
静岡県立大学短期大学部歯科衛生学科助手 嶋らが発表した論文
(原著:
http://bambi.u-shizuoka-ken.ac.jp/tk/0102tk/0102_32.pdf)
の数値を引用して、つくったものです。
この表が客観的にあらわしていることは、大多数の歯科医院では、スタンダードプリコーションの概念は
理解されていない、もしくは理解していても導入はされていない、ということです。
歯科治療器具のうち、もっとも使う頻度が高いのは基本セットと呼ばれる器具類でしょう。
基本セットとは、医院ごとに差異はあるでしょうが、たいていの場合「歯科用ミラー・ピンセット・探針」をさします。
この調査からは基本セットの滅菌具合はわかりませんが、おそらく100%近くの医院では最低これらは
何らかの滅菌操作がなされているものと思われます。
ですが、この調査結果から、歯の切削器具を滅菌している医院が少ないことは
明らかです。
切削器具は直接唾液や血液、切削粉塵を浴びているので、汚染の頻度は高いはずですが、
その意識はまだ低いのかもしれません。
また、
手袋をひとりひとり交換している比率が少ないことも、驚かれることかもしれません。
手袋をほとんど交換しない、ということは、患者→医療従事者への感染は防げますが
医療従事者を介した患者間の感染経路は防ぐことができません。
滅菌や手袋の交換は確かにコストがかかることですし、現在の医療に対する給付が充分にそれをカバーしているとは言いがたいのも
事実かとおもいますが、コストだとか面倒だとか言うことを理由になおざりにしていいことではないと思います。
当院では、
すべての器具はスタンダードプリコーションにのっとった滅菌もしくは使い捨て器具の使用によって、
最大限の感染対策を行っています。